京のセントラルパークで雅な公家屋敷を巡る。
江戸時代には、約200軒の宮家や公家の邸宅が立ち並ぶ町であった京都御苑。明治の遷都の際、御所を囲んでいた公家屋敷の大半が東京へと移りましたが、苑内にはお公家さんの数々の貴重な遺構が残ります。拾翠邸(しゅうすいてい)や閑院宮邸跡(かんいんおみやていあと)は、一般公開されており公家屋敷の中に立ち入ることができます。
東西約700m南北約1300mという広大な敷地の京都御苑
社交場として使用した九條家の茶室・拾翠邸。
邸の前に広がる九條池と名付けられた勾玉形の池。池の東側には木立がなく、東山の眺望を借景にとりいれていたそう。この池は、当時は鴨川から水を引いていたというので、九條家の権力を伺い知ることができます。
高倉橋から九條池越しに見た「拾翠邸」
入母屋造の屋根の一部は杮葺(こけらぶき)になっています
1階にある三畳の小間と呼ばれる茶室の「ほたる壁」
2階の格子に刻まれた、丁子七宝模様
2階の外回りには、縁高欄という手すりが施されています
樹々の青を映し出す閑院宮邸跡の穏やかな時間。
苑内の南西にある閑院宮邸跡は、11,400㎡という広大な敷地の一部が一般公開されています。華美な装飾はありませんが、端正で美しい建物が印象的。心地よい風が吹き抜ける庭園には、明治16年に宮内省京都市庁として活用されていた当時の宮内省長官舎跡も残っています。
敷地内へは東門
庭から望む主屋。当時の栄華が伺えます
庭園に残る宮内省長官舎跡
中庭を囲む木造平屋建の四つの棟で構成された主屋の南棟には、京都御苑に関する歴史と自然の情報が展示されています。書院造の建物で、建設当時の屋敷構えが保存されており、当時を思わせる空間そのものを楽しめます。
写真絵図などのパネルでわかりやすく展示
閑院邸跡で見逃せないのが「床みどり」です。日々磨かれたケヤキの床板に、青々とした青紅葉が反射する日本の伝統美ともいえる光景がみられます。
日々磨かれツヤのある幅の広いケヤキの床板
床板に鮮やかな緑が映る「床みどり」
閑院宮邸跡は月曜・年末年始を除き通年一般開放されています。
江戸時代と変わらぬ歴史ある邸宅と自然が調和した、美しい京都御苑を歩いてみませんか?